クライヌリッシュ(CLYNELISH)は、スコットランドの北東部、北海に面したリゾート地ブローラに、クライヌリッシュ蒸留所があります。1819年、この地域の穀物農家のために市場を確保すること、そして違法な蒸留所への穀物供給をストップさせることを目的に、サザーランド公爵の命により、約750ポンドの資金で建てられました。

クライヌリッシュは、現在、最北の地で製造されているハイランドモルトのひとつです。専門家たちの間では「本土のモルトの中で最も海岸の味わいを持つもの」とも表現され、ハイランド地方と沿海地域、ふたつの特徴を兼ね備えたシングルモルトです。

クラインリシュは、ディアジオ社が誇るクラシックモルトセレクションの中の1本で、多くのファンを持つ秀逸な北ハイランドモルトです。ヘザーハニーのようなコクのある甘みと、ワクシーなニュアンスが特徴的なシングルモルトで、ピーティではありませんが、ほんのりとした潮風のニュアンスも感じられます。クラインリシュは古くから誉れ高いウイスキーとして知られ、19世紀の後半には、当時有名だったザ・グレンリヴェットと肩を並べる銘酒と謳われるほどでした。その人気ゆえに生産が追い付かず、注文に応じきれないこともあったそうです。

1967年に、クラインリシュ蒸留所の隣に新しい蒸留所が建造されました。新蒸留所にはクラインリシュの名が与えられ、旧い方の蒸留所はブローラと改名されたのです。ですので、現在のクラインリシュ蒸留所の創業年は1819年ではなく、1967年ということになります。とはいっても新しい蒸留所、つまりクライヌリッシュは、スチルも麦芽も仕込み水も、さらには熟成庫も従来のものと全く一緒であり設備が近代的になったにすぎません。 もちろん味は伝統的な味を保っています。ブローラ蒸留所は1983年5月に総業停止。現在も休眠状態が続いています。

分類

スコッチウイスキー

タイプ

シングルモルト

品種

大麦
酵母

原産国

イギリス（スコットランド）

地区

ハイランド

クラインリシュに特有の蜜ろうを思わせるワクシーなニュアンスは、広葉樹の樹液やカナブンやカブトムシをも連想させ、蜜ろう様の香りを、「カナブン臭」などと表現される方もいらっしゃいます。なおこのクラインリシュのワクシーな香りですが、蒸留液を一時的に貯めておくレシーバータンクにその原因があることが知られています。底に溜まっている沈殿物が、そのワクシーな風味を造り出しているのだそうです。