バランタイン(Ballantine’s)は、ブレンデッド・スコッチの代名詞的な存在です。調和のとれた華やかな香りとエレガントで洗練された味わいを特徴としています。スコッチ3大ブランドのひとつであるバランタインの総売上は年間約550万ケース。バランタインはスコットランドの 北はオークニー島のスキャパ蒸溜所から、西はスモーキーフレーバーの強いアイラ島のラフロイグ蒸溜所まで、その他40種類以上のモルト原酒をブレンドしてつくられています。

グレーンウイスキー蒸溜所はストラスクライドとダンバートンにあります。ストラスクライドの蒸溜所は小麦を原料にし、ホール・マッシュ方式という古典的な方法を採用しています。対してダンバートン蒸溜所はトウモロコシを原料にし、ウォート（この場合はトウモロコシの汁）とマッシュ（もろみ）を分離して発酵させます。この特殊な方法で、より澄み切った軽やかな蒸溜液を取り出すことができるのです。ブレンデッドウイスキーの半分以上の原酒をこのグレーンウイスキーが占めていることを考えればグレーンウイスキーの重要さがわかります。

1822年5月15日、13歳のジョージはエディンバラへ向かいます。それは、食料品と酒類を扱う商人アンドリュー・ハンターのもとで修業をするためでした。5年後、徒弟奉公を終えたジョージはエディンバラに食料品店を開き独立、徐々に事業を拡大していきます。そんなとき、アンドリュー・アッシャーが熟成期間の異なるモルトを混ぜ合わせたウイスキーを製造。彼の苦心談を聞いたジョージにひらめくものがありました。モルトウイスキーとグレーンウイスキーのブレンドです。ブレンデッド・ウイスキーの可能性に興奮を覚えたジョージは、ウイスキーの新しい技術、ブレンディングという芸術の錬磨に打ち込み、独自のブレンドの完成を目指します。これがのちの〈バランタイン17年〉の礎となります。