食前酒としてはもちろん、シュワシュワと弾ける細かい泡がお祝いのシーンに華を添えてくれるシャンパン。今回はそのルーツをはじめ、ほかのスパークリングワインとの違い、代表的な銘柄をご紹介します。
「シャンパーニュ地方」だけで造られるスパークリングワイン

シャンパンとは、フランスの北東部にある「シャンパーニュ地方」で造られるスパークリングワインのこと。スパークリングワインとは、おもに瓶内二次発酵によって炭酸ガス(泡)を生む製法が特徴的な発泡性ワインです。スパークリングワイン=シャンパン、ではなく、フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインだけが、シャンパンを名乗る資格を有します。
シャンパンの起源
フランスのシャンパーニュ地方は、ブドウが栽培できる土地としてはほぼ北限にあたる寒い地域。そのため、育つブドウは糖分が少なく、色素も薄いため、白ワインの生産地として歴史を歩んできました。
世界初のシャンパンが誕生したのは1660年頃。シャンパーニュ地方の白ワインのおもな輸出先となっていた、イギリスで生まれたと言われています。2~3月の厳冬のシャンパーニュ地方から、白ワイン樽が船便でロンドンへ送られる際、ワインは言わば冬眠した状態。それがロンドンに着き、春になり暖かくなってくると、酵母が冬眠から目覚めて自然と樽の中で二次発酵が始まり、シュワシュワと泡の出るワインになった、というのがルーツとされています。
日本に伝わったのはペリー来航時
日本人がシャンパンを知るきっかけとなったのは江戸時代。1853年、旗艦サスケハナ号で浦賀港に来航したペリー提督が、浦賀奉行にフランス産のシャンパンを振る舞ったという記録が残っています。明治期にはすでに、鹿鳴館の夜会などで最高級のシャンパンが飲まれていたそうです。
シャンパンが高価な理由

シャンパンは、ほかのスパークリングワインに比べて高値で取引される傾向があります。
その理由はまず、シャンパーニュ地方は寒冷な地域であり、ブドウの生育にコストがかかるため。加えて、シャンパンを名乗るための様々な規約がフランスのワイン法で定められており、それらを全てクリアする必要があるためです。たとえば、高品質に仕上げるためにブドウを優しく搾ることが義務付けられており、ブドウから採れる果汁の総量はどうしても少なくなります。さらに、ほかのスパークリングワインに比べて最低熟成期間が長いので、市場への流通量に限界があるのです。
代表銘柄紹介
ドン・ペリニヨン
“シャンパンの元祖”である、ドン・ぺリニヨン。シャンパーニュ地方のオーヴィレール修道院の酒庫係を担当した、ヴェネディクト派の修道士であるドン・ピエール・ぺリニヨン氏によって17世紀に立ち上げられたシャンパーニュ・メゾンです。1680年、ワインのガラス瓶にコルク栓を打ち、瓶内で二次発酵させる方法を開発し、現在に続くシャンパンの原型を完成させました。その後、異なる畑で獲れたブドウや、白黒のブドウをブレンドする「アッサンブラージュ」という技法によって、寒い地域で育ったブドウの酸味を和らげることにも成功しています。
ブレンドするのは、同じ年に採れたブドウのみ。さらに最低熟成年数を8年とする長期熟成によって、複雑かつ均整のとれた味わいを実現。このヴィンテージへのこだわりが、高値で取引される要因のひとつとなっています。
ペリエジュエ(ベル・エポック)
1811年創業の老舗シャンパーニュ・メゾン。従来シャンパンに採用されることの少なかったシャルドネ種をメインに用いた、エレガントなシャンパンが世界中のセレブリティを席巻しました。フランス皇帝ナポレオン三世をはじめ、イギリスのヴィクトリア女王、ベルギー王室など、各国王室からの寵愛も厚いメゾンです。
シャルドネを軸に、ピノ・ノワールなどのブドウ品種をブレンド。白い花や洋ナシを思わせるフレッシュで洗練された印象で、白いアネモネが描かれた瀟洒なボトルが、味わいを見事に体現しています。
クリュッグ
1843年の創業以来6代にわたって、クリュッグ家によってその伝統が守られているメゾン。小規模かつ、一切の妥協を許さない職人気質な生産体制で、世界最高峰に位置づけられるシャンパンを造り続けています。その熱狂的な愛好家は“クリュギスト”と呼ばれ、英国のエリザベス女王や文豪ヘミングウェイ、ココ・シャネルなど数多のセレブリティが、その虜となりました。
「毎年の天候に左右されることなく、最高品質のシャンパンを造り続ける」という初代当主のコンセプトを引き継ぎ、ブドウの収穫年にとらわれずブレンドを行う「マルチ・ヴィンテージ」が大きな特徴。30年以上経過した古樽を使用した長期一次発酵もあいまって、奥行き豊かな味わいと芳香を生み出しています。
他にも高価買取銘柄が多数

今回は、シャンパンはなぜ世界中で重宝されているのか、についてご紹介しました。 ここで取り上げた銘柄以外にも、「サロン」や「アンリ・ジロー」「アルマン・ド・ブリニャック」など、パスワークでは高価買取を行っている銘柄が多数ありますので、まずは気軽にお問合わせください。